
- 1 ICOの概要
- 2 ICOの特徴
- 3 ICOのメリット
- 4 ICOのデメリット
- 5 STOの概要
- 6 STOの特徴
- 7 STOのメリット
- 8 STOのデメリット
- 9 IEOの概要
- 10 IEOの特徴
- 11 IEOのメリット
- 12 IEOのデメリット
ICOの概要
ICOとは?
ICO(Initial Coin Offering)は、プロジェクトを実施した企業が独自の暗号資産(仮想通貨)トークンの新規発行を行い、投資家に販売して資金を調達する方法です。
株式投資に企業が新株発行を行い市場に上場して投資家に販売するIPO(新規公開株式)がありますが、IPOの暗号資産版がICOになります。
ICOの歴史
2013年にマスターコインというアルトコインが初めてICOを実施しました。
2014年にイーサリアムがICOを実施して約18億円の資金調達に成功しICOが注目を浴び認知度が広がりました。
2016年にスマートコントラクトを利用した投資ファンド設立を目指す「THE DAO」というプロジェクトが約150億円の資金調達に成功しましたが、その後約50億円相当のイーサリアムがハッキングされる事件「THE DAO事件」が発生し、暗号資産(仮想通貨)やICOに対して消極的な動きになりました。
2017年はICOブームでブラウザ会社の「Brave」がICOを実施してベーシックアテンショントークンという独自トークンを販売して30秒で約3,500万ドルの資金調達に成功したことにより、ICOブームに拍車がかかり様々なプロジェクトがICOを実施しております。
しかしICOの中には詐欺目的なプロジェクトが多数存在し法整備もされておらず被害が多発したことにより、世界的にICOを規制する動きが加速し、同年に中国や韓国ではICO禁止の発表や国内でも金融庁が注意喚起をしており、徐々にICOの件数が減少していきました。
国内では2018年に金融庁がICOの法規制の方向性を決定し、2020年5月に改正法が施行されました。
この改正法によりICOは投資目的とそれ以外で適応される法が異なり、以前のように誰でも低コストで気軽に実施できるようなものではなく、定められた条件をクリアした事業者が実施できる方法に変更されましたので、ICOの実施ハードルを高くすることで詐欺目的のICOを除外できるよう整備されました。
ICOの現状
ICOブーム後詐欺が多発し世界各国で規制が強化されICO市場は減少し需要はなくなっています。
国内でも現状はほとんど行われていません。その代わりICO後に出てきたSTOやIEO、IDOなどの資金調達も改めて注目されており、事業者が目的や状況に合った資金調達を選択して健全なプロジェクトのみ実施できる状態になっております。
ただ直近ICO2.0と呼ばれる従来の問題点を改善したICOプロジェクト誕生していますすので、従来の詐欺目的イメージを払拭できればICOの信頼が回復して再びICOブームが来る可能性もあります。
ICOの特徴
トークンの種類
セキュリティトークン
証券型トークンとも言われており、株式や証券など有価証券の性質を持ったトークンです。
ユーティリティトークン
特定のサービスに活用できる実用性を持ったトークンです。
規制対象
金融商品取引法
規制対象:セキュリティトークン
資金決済法
規制対象:トークンが暗号資産(仮想通貨)に該当する場合
ICO主体者は暗号資産交換業として自社で登録するか、既存の暗号資産交換業に販売委託を行う必要があります。
規制対象:トークンが前払式支払手段(電子マネー・ポイント等)に該当する場合
事業者は暗号資産交換業の登録がなくても販売はできます。
ICO(企業)のメリット
調達資金の返済が不要
ICOで調達した資金は投資家に返済する必要はありませんので企業が自由に使えます。
世界中から資金調達ができる
自国のみに問わず魅力的なプロジェクトであれば世界中から資金調達することも可能です。
ICO(投資家)のメリット
少額から投資できる
プロジェクトのトークンの種類によって価格は異なりますがが、少額から投資することができます。
トークンの価値が上がればハイリターンが得られる
サービスの認知度が広がりトークンの価値が上がれば、売却して大きな利益を得られる可能性があります。
ICO(企業)のデメリット
各国で規制ルールが異なる
国によってICOの規制ルールが異なり法律違反になる可能性があるため自国外で実施する際は注意が必要です。
プロモーションが難しい
ICOは規制している国や詐欺目的のイメージが強いので、ICOの実施や魅力的なプロジェクトじゃないと投資家に対するプロモーションが難しいです。
ICO(投資家)のデメリット
資金を失うリスクがある
投資したプロジェクトやサービスの人気が出ないとトークンの価値が下がり投資額より損失する可能性があります。
詐欺目的の可能性がある
国内では法整備がされておりますので詐欺目的のものは除外できますが、海外では国によって法整備がされていないところがありますので、海外のICOを取り扱う場合は詐欺目的も含め注意が必要です。
STOの概要
STOとは?
STO(Security Token Offering)は、プロジェクトを実施した企業が暗号資産(仮想通貨)セキュリティトークン(有価証券)の新規発行を行い、投資家に販売して資金を調達する方法です。
セキュリティトークンは証券型トークンとも言われおり、ICOを有価証券化したものがSTOになります。
STOの歴史
2017年ICOブーム後、詐欺的なものが多発して世界的にICOの規制が厳しくなった時期にICOの進化版としてSTOが誕生しました。
ICOの問題としてICOで発行された一部のトークンは有価証券にあたり、証券法に違反しているのではないかと問題視されていましたので、リスクヘッジとして初めから有価証券として発行する手段がSTOになります。
2018年にアメリカのEC大手の子会社でセキュリティトークン(ST)取引所の「tZERO」がSTOを実施して約130億円の資金調達に成功しました。
2019年から徐々に広がり国内では5月に「一般社団法人日本セキュリティトークン協会(JSTA)」、10月には大手証券会社が共同で「一般社団法人日本STO協会」を設立しております。
2020年に改正法が施行されSTOは金融商品取引法の枠に入りましたので、株式など同じ有価証券になりました。
同年8月に不動産サイト「LIFULL HOME’S」を運営している株式会社LIFULLがセキュリティトークンのプラットフォームを運営しているSecuritize Japan株式会社と業務提携して、不動産業者向けにSTOスキームの提供を開始しており、10月には国内初投資家向けに不動産STOの実施をしました。
これにより不動産業者が不動産をセキュリテイトークンとして発行して取引ができるようになり、所有権を分割できることで少額から投資家も参加できますので、投資ハードルが高かった不動産投資などにも参加しやすくなります。
またSTO協会に参加しているSBIホールディングスがSTOの関連ビジネスを開始することを発表しており、証券など金融業でも活用されることが期待できます。
STOの現状
世界各国の大手企業がSTO事業に参入して実用化に向けて動き始めました。
国内では2021年にSBIホールディングスと三井住友ファイナンシャルグループ共同で大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)を設立して、国内初の私設取引所(PTS)とセキュリティトークン(ST)取引所の運営を目指しており2023年「START(スタート)」の運営をスタートしています。
まだまだSTOの事例は少ないのですが、徐々にSTOサービスが誕生しています。世界的に証券デジタル化が進んでいますので、今後デジタル証券の市場が拡大することでSTOを行う企業も増加すると思います。
STOの特徴
権利の種類
電子記録移転有価証券表示権利等
金融商品取引法の対象となるセキュリテイトークンです。
電子記録移転有価証券表示権利等は、「トークン化有価証券」と「電子記録移転権利」の2つに分けられております。
トークン化有価証券
国債・社積・株など有価証券をデジタル化したセキュリテイトークン。
電子記録移転権利
信託受益権・集団投資スキームなどをデジタル化したセキュリティトークン。
適用除外電子記録移転権利
電子記録移転権利に該当しないセキュリティトークン。一定の要件を満たしている場合。
規制対象
第一項有価証券
規制対象:トークン化有価証券/電子記録移転権利
第二項有価証券
規制対象:適用除外電子記録移転権利
STO(企業)のメリット
低コストで資金調達ができる
取引処理が自動化することで仲介業者への手数料などが不要になりますので低コストで資金調達できます。
調達資金の返済が不要
STOで調達した資金は投資家に返済する必要はありませんので企業が自由に使えます。
STO(投資家)のメリット
資産を分割できるため少額から投資ができる
セキュリティトークンにすることで資産を分割できるため高額な投資対象も少額から投資できます。
有価証券なので投資対象として安心できる
STOは有価証券で金融商品として法整備がされておりますので、暗号資産(仮想通貨)の投資対象として安心できます。
STO(企業)のデメリット
トークン発行のハードルが高い
セキュリティトークンは有価証券になるめ法に基づいた発行や管理が必要になりますので実施ハードルが高いです。
プロモーションが難しい
一般的にはSTOの認知度はまだ低いので、魅力的なプロジェクトじゃないと投資家に対するプロモーションが難しい。
STO(投資家)のデメリット
取引場所が少ないのでSTOの取引が限定されている
市場が少なく取引所も少ないためSTOの取引機会が限定されています。
資金を失うリスクがある
投資したプロジェクトやサービスの人気が出ないとトークンの価値が下がり投資額より損失する可能性があります。
IEOの概要
IEOとは?
IEO(Initial Exchange Offering)は、プロジェクトを実施した企業が独自の暗号資産(仮想通貨)トークンの新規発行を行い、暗号資産(仮想通貨)取引所に委託して投資家に販売して資金を調達する方法です。
取引所は主体企業のプロジェクトの調査を行い精査しますので、投資家も安心して取引ができます。
IEOの歴史
ICOブームが低迷している頃に新たな資金調達方法として誕生したのがIEOになります。
初めてIEOが実施されたのは2019年1月に海外の取引所のBinanceでBitTorrentが発行するBTTトークンでIEOを実施して約7億円の資金調達に成功しました。
その後いくつかの海外取引所がIEO事業に参入しており、複数のプロジェクトがIEOを実施して資金調達に成功しております。
国内では2021年に7月に取引所のコインチェックがIEOを開始して、NFT事業会社の株式会社HashPaletteがパレットトークンを国内で初めてIEOを実施して約9億円の資金調達に成功しています。
IEOの現状
世界各国の大手企業が取引所を経由して信頼性が高い資金調達法としてIEOを利用しています。
国内ではコインチェックやbitFlyerなど複数の取引所がIEOを開始しており各企業がWeb3.0関連のプロジェクトを実施しています。
まだまだIEOの事例は少ないのですが、NFTブームの影響もありNFTやWeb3.0関連のIEO実施を予定しています。
IEOを行うためには厳密な審査があるため実施されたプロジェクトは信頼性が高いので、IEOの市場が拡大すれば今後様々な業界でIEOで資金調達してサービス開始する会社が増加すると思います。
IEOの特徴
取引所の審査
国内取引所でIEOを実施する場合、各取引所で設定されている審査基準を通過する必要があります。
一定の共通基準はありますが、取引所によって一部基準やプロジェクトの強みが異なります。
抽選
IEOは抽選が行われる場合があります。参加人数が申込上限数を超えている場合は、抽選を行い当選した方のみがトークンを購入できます。
IEO(企業)のメリット
プロモーションが行いやすい
実施企業以外に取引所からもプロジェクトの宣伝が行われるため、投資家に向けてプロモーションが行いやすい。
調達資金の返済が不要
IEOで調達した資金は投資家に返済する必要はありませんので企業が自由に使えます。
IEO(投資家)のメリット
取引所が審査をしているので信頼度が高い
取引所の厳格な審査を通過しているので、プロジェクトの信頼度が高く安心して購入できます。
取引所のアカウントがあれば気軽に参加できる
取引所経由で販売が行われるため取引所のアカウントがあれば誰でも気軽に購入ができます。
IEO(企業)のデメリット
取引所の審査が厳しい
取引所も自社のユーザーに販売するため、審査基準は厳しく設定されているため審査に通るハードルは高いです。
取引所と価格調整や手数料を支払う必要があります
取引所経由で販売が行われるため手数料や報酬の支払やトークン価格や配分について取引所と調整を行う必要があります。
IEO(投資家)のデメリット
資金を失うリスクがある
投資したプロジェクトやサービスの人気が出ないとトークンの価値が下がり投資額より損失する可能性があります。
先着や抽選のため購入できない可能性があります
IEOのトークン購入は先着や抽選になりますので、希望した数量や購入ができない可能性があります。

こちらのサイトでは暗号資産・Web3・メタバース・生成AIに関連することを紹介しています。
今回はICO・STO・IEOついてご説明します。
ICO・STO・IEOの歴史・現状・今後について簡潔に説明しておりますので、サクッと内容を理解したい方にオススメです。